作品紹介 もっと詳しく知りたい かながわ県民共済

8月31日(土)~9月12日(木)
わが心のボルチモア
AVALON(1990年/アメリカ/127分)

監督 バリー・レビンソン
出演 アーミン・ミューラー=スタール
エリザベス・パーキンス
配給 コロムビア・トライ・スター映画
 
INTRODUCTION
 「1914年、私はアメリカへ渡った。そこは見たこともないような美しい街だった。」
限りない懐旧の念に満ちたひとりの老人の独白から始まるドラマが、いま観るものすべてを静かな、しかし熱い感動に包み込む─
 サム・クリチンスキー。今世紀始めにアメリカの土を踏んだ東欧移民。ささやかな壁紙職人としてアメリカ生活のスタートを切った彼にとって、その精神の拠りどころは、移民ゆえの誇りと家族の絆。
 ドラマの背景にあるのは、テレビ・メディアの普及と発達だ。時代相もくっきりと描き出された珠玉のようなエピソードの数々が心にせつなく迫る。“移民史”というよりはむしろ“家族史”。サム・クリチンスキーを中心とする一家三代の半世紀に及ぶ変転こそ、失われゆくファミリーへの挽歌にほかならないだろう。
 故郷ボルチモアで過ごした少年時代。その懐かしくも甘酸っぱい記憶をもとに、自らのルーツを再現したのは「レインマン」「グッドモーニング・ベトナム」のビッグ・ヒットで今最も信頼される監督バリー・レビンソン。デビュー作の「ダイナー」本邦未公開の「ティン・メン」と、生まれ故郷に愛着を抱くレビンソンにとって、本作は“ボルチモア3部作”の完結編のような一編。製作・脚本も兼ね、その想いのたけを抑制のきいた語り口でフィルムに焼き付けている。
STORY
 若いサム・クリチンスキーが生まれ育った東欧を後に、アメリカに渡ったのは1914年のことだった。ひと足先に来ていた4人の兄弟のつてで壁紙職人となったサムは、やがて同じ移民のエバを妻に迎え、一子ジュールスをもうけた。彼らはアバロンの通りに住みつき、そこがサムにとっては第二の故郷となった。
 歳月は流れる。一人が欠けたものの、クリチンスキー兄弟からは枝葉のように縁者が増え、事あるごとに集まっては、“家族会”を開き結束を確認するのを常としていた。サムはいつしか孫の世代に苦難の昔話を語り聞かせることが習慣になっていた。

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