作品紹介 もっと詳しく知りたい かながわ県民共済

12月7日(土)~12月19日(木)
流転の海
(1990年/日本/128分)

監督 齋藤武市
出演 森繁久彌、野川由美子
配給 東宝
 
INTRODUCTION
 この作品は、宮本輝が全五部作を予定して渾身の筆を振るう「流転の海」第一部の映画化である。父と子の関係は、宮本文学の重要なテーマである。「私は嘘を書きます。そして、その隙間に本当のことを書きます。しかしそれはどこかで逆になり、いつしか区別がつかなくなるでしょう。それくらい、私の父は、息子である私にとっては不可解な人物でした。」と作者は語る。「流転の海」の父親像は森繁久彌をイメージして書いたという。数々のテレビドラマや舞台で、森繁久彌は父性の表現に他の追随を許さない絶妙の成果をあげてきた。「今の世の中で薄れ果ててゆこうとしている男の像が、実に克明に描かれている。戦後の混乱期をエネルギッシュに生きるその豪快さと、盲目的なまでに子供をかわいがるいじらしさ。父親の権威失墜が言われる今こそ、こうゆう男を青年たちに見せなくては…。」と森繁久彌は畢生の映画作品として熱演している。共演陣は、野川由美子、佐藤浩市、芦田伸介、三浦友和、奈良岡朋子、芦屋雁之助など、まさに日本映画界が誇る超豪華キャストである。
 監督は、名作「愛と死をみつめて」や小林旭の“渡り鳥”シリーズ等数々の話題をつくった齋藤武市。脚本は日本のハードボイルドの草分けとなった「野獣死すべし」を監督し、宮本輝原作「蛍川」を脚本、監督した須川栄三。撮影監督には「化石」「我輩は猫である」等多数撮影賞を受賞している岡崎宏三、音楽はベテランの池辺晋一郎が担当。
STORY
 舞台は太平洋戦争敗北直後の大阪、ものみな混沌とした廃墟と闇市の時代。疎開先から戻った型破りの商人松坂熊吾が、このカオスのなか激しいエネルギーで再起を期すが、折も折り、妻の房江に諦めていた子宝が授かった。五十八歳にして初めて得た望外の子供である。熊吾は息子・伸仁を溺愛する。その一方で、この理不尽で我儘で好色な男の周辺には、幾多の波乱が待ちかまえていた。

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