作品紹介 もっと詳しく知りたい かながわ県民共済

3月4日(土)~3月9日(木)
小早川家の秋
(1961年/日本/103分)

監督 小津安二郎
出演 中村鴈治郎、原節子
配給 東宝
 
STORY
 昔は羽ぶりのよかった小早川酒造。妻に先立たれた万兵衛は今やご隠居の身だが、ある日、ばったり昔なじみの妾に出会って以来、しっかり者の長女の目をぬすんでは通っている。一方、病死した長男の妻・秋子の再婚に手をつくす親戚たちや、転勤した同僚への恋を断ち切れずに悩む次女・紀子ら、万兵衛の道楽者ぶりに一喜一憂する家族が描かれる。
INTRODUCTION
 日本映画の至宝小津安二郎が、東宝で初めて撮った芸術大作。原節子、笠智衆、杉村春子ら小津組に、東宝の主役級の俳優を多数出演させ、まさに豪華な顔ぶれの作品となった。万兵衛を演じた中村鴈治郎は、“芸道一代男”といわれた初代鴈治郎を父にもつ名優。歌舞伎界で活躍していたが、55年に映画界に転向。65年を境に再び歌舞伎に戻り、65年には人間国宝に認定された。58年市川昆監督「炎上」と成瀬巳喜男監督「鰯雲」ではブルーリボン賞の男優助演賞を受賞した。本作品でもどこか憎めない道楽者を、とぼけた味わいでみせる。小津安二郎は森繁久彌に最後までなじめなかったそうだが、カメラ位置、構図、役者の台詞まわしから立居振舞いまで計算する小津にとっては、アドリブ的演技が持ち味の森繁は使いづらかったのだろう。
 親戚一同が会する葬式の場面での、火葬場の煙突の煙を人々がそれぞれの思いを抱いて見上げるシーンは、伊丹十三監督のデビュー作「お葬式」に反映したといわれる。

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